“ご存知の通り、
この番組はもう終了することが
決まっていますーー”
ステージに立った彼女はそう語りだす。
そのラジオ番組はこの日、終わりを迎える。
ラジオの奇跡が起きた“あの夜“から1年。
ニッポン放送の植村杏奈は
ラジオディレクターとして
多くの番組を担当する
多忙な日々を送っていた。
新たに立ち上げた
『綾川千歳のオールナイトニッポンN(ニュー)』は
放送開始から1年という早さで
ラジオイベントの開催が決定。
順風満帆かと思いきや、なんと、
開催前に番組終了が決定してしまったーー。
ディレクターの植村には分からなかった。
なぜ、番組は終わるのか。
それは、誰の意思なのか。
どうしたら続けていくことができたのか。
刻々と迫るイベント本番。
会場に足を運ぶラジオリスナー。
1つの番組が終わる。
それとどう向き合うべきか。
ラジオを愛する者たちは、
はたして答えを見つけることはできるのか……!
舞台は東京国際フォーラム。
パーソナリティとリスナーが顔をあわせる
初めての、そして最後の場所。
"君が踊り、僕が歌うとき、新しい時代の夜が生まれるーー"
1967年のとある夜に始まった「オールナイトニッポン」。楽しかった夜、寂しかった夜、不安な夜。どんな夜もラジオから聴こえてくる声は、すぐ側にあった。
2022年。55年の月日が経ったある夜。今宵も「オールナイトニッポン」の放送が始まる。キューが振られ、パーソナリティがカフを上げれば、真夜中のブースが、ラジオの前のあなたと繋がる。深夜1時から始まる『藤尾涼太のオールナイトニッポン』。しかしその番組には、誰にも言えない秘密があったーー。
舞台は有楽町、深夜のニッポン放送。すべてのラジオリスナーに贈る「あの夜」の物語。