わんぱく宣言2008/全国こども作文・スピーチコンテスト 公式ホームページ
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わんぱく宣言 2008 テーマ「ありがとう」
奨励賞
(中学生の部)
吉村 勇紀(よしむらゆうき) 
愛知県/名古屋大学教育学部附属中学校 1年
『ありがとう、とっくん』
 


 ぼくには、とっくんという友だちがいる。
身長はクラスで一番高く、先生よりもでかい。空手を習っているので肩幅もある。細身のぼくがすっぽりとかくれてしまうくらいだ。
  ぼくととっくんは政治の話もする。
「ガソリン税どうなるんだろうね。」
「賛成、反対のどちらも退けないね。」
ぼくの話をちゃんときいてくれるし答えてくれる人だ。そのとっくんが、ぼくの応援を買って出てくれた。児童会役員選挙で六年生はこれが最後のチャンス。前回までの連続落選は、さすがにぼくはこたえていた。
「応援したるからさぁ、ヨシムラ出ろよ。」
バシッと背中をたたいたのはとっくんだった。それでぼくは「ゆうきやる気」のはちまきとタスキを再び身につける決意をした。まさしく、背水の陣立候補だ。
「ポスターは派手にした方がいいんじゃない。おまえ、かたいからさあ、女子から人気ないし、演説会は、お笑いを入れたらどう。」
早速、作戦会議が進む……のもつかの間、とっくんは、おおかた応援メガホンでぼくの背中をたたいたり、かえ歌をうたいはじめたり困った人でもある。
「吉村勇紀に一票をお願いします。」
そんなとっくんが、この一言を言うときはいつも大まじめだ。
  あっという間に、一週間の活動期間が過ぎ、立会演説の日を迎えた。
「西小を笑顔あふれる学校にしたいんです。」ぼくの最後の言葉に、とっくんがガッツポーズを加えた。後は、明日の結果を待つのみ。
「ヨシムラ、まあだめでも落ちこむな。やるだけのことはやったし、中学校の生徒会でまた立候補すればいいし、また手伝うぜ。」
と、はげましなのかなぐさめなのか、大きな体のとっくんが顔を近付けてきて言った。
  翌日、結果が気になり、校門をくぐると全速力で走った。げた箱からは、目をつぶって歩き、掲示板の前で目をそっと開けた。名前
の上にピンクの花がついていた。階段をひとつおきにかけ上がって教室にとびこむと、おっという顔でとっくんがこっちを見た。
「ごせいえんありがとね。」
「えっ、ごせんえん、五千円くれるの。」
と、てれくさそうにとっくんが言った。
「五千円なんてないよ。」
実にちぐはぐなやりとりになってしまった。
  最後のチャンスをつかむ勇気をくれた親友とっくん。心から言うよ。ありがとう。

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