わんぱく宣言2008/全国こども作文・スピーチコンテスト 公式ホームページ
わんぱく宣言 2008
テーマ
「ありがとう」
タウンページ賞
木 彩夏(たかぎあやか)
千葉県/市川市立 第六中学校 3年
『母へ』
スピーチを聴く
私の家は母子家庭だ。日本の恵まれている大半の家庭から見たら、『父親』のいない私
の家庭はつらいものと思われがちのようだ。確かにそうなのかも知れない。父親のいない私の家庭の財政が安定しないのは隠しようのない事実だし、二人の負担が大きいのも事実だ。いかに日本でそういう家庭が増えているのだとしても、その事実は変わらない。
だから私が母に、母が私に向き合う時間は長い。だからこそ言わなければいけないのに、言えない。『ありがとう』と。
テレビでよくやるドキュメントドラマは嫌いだ。自分のことを思い出すから。だが、その日に限って流れている「不良少女の話」。
私は直視できずにまっ白なノートと向き合っていた。耳に入る音に意識を集中すると、母の鼻を
む音が聞こえた。その少女の生い立ちに共感して泣いているようだった。「物心
ついた頃から母親と二人きり、居心地が悪くなって家を飛び出した母子家庭の少女。」
母が不意に言った。
「あんたがここまで育ってくれて良かった。あんたは本当に手のかからない子で……。」
驚いた。母の話はいつも唐突だ。ふざけた話も真剣な話も、空気を読まずいつも突然出る。
ひらめくように突然思い出した。自分の過去の話。夜泣きしなかったとか、壁にシールを貼らなかったとか、そんな些細な事。昔は、自分は小さい頃から他の子と違う、優れた子だったのかと思っていた。だが昔のビデオや写真を見るとなんのことはない、傷だらけの生意気そうな女の子だ。全てが繋って頭の中で母の言葉がこだました。
その時から私は思うようになった。私の母が母親でよかったと。母の寛大な心で私のワガママは聞かれ、普通なら煩いだろう小さな私の甲高い泣き声もあやされていたのだ、と。『手のかからない子』とは言いがたい小さな私を我慢強くあやし続けてくれた母。育ててくれた母。私から言わなければいけないのに言えない、たった一言の『ありがとう』。正
面切って言うことはできないから、せめてこれを見て欲しい。それも私のワガママかも知れないけど……。
十四年間、育ててくれてありがとう。これからは本当の『手のかからない子』になろうと思う。その日まで私からの『ありがとう』はとっておいてもいいよね?
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